引き継ぐ人への指示書
- 執筆
- CRYPTO PORT 編集部
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- 読了目安
- 7 分
結論
指示書の役割は、鍵を渡すことではなく、何があってどこを見ればよいかを伝えることです。鍵そのものは書かず、保管場所と開け方の道筋だけを示してください。法的な手続きの設計は、必ず弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。
要点
- 指示書に鍵・シードフレーズ・パスワードそのものを書かない
- 書くのは「何があるか」「どこを見るか」「誰に相談するか」
- 読む人は暗号資産に詳しくない前提で書く
- 法的な有効性や手続きは専門家に設計してもらう
定義
自分に何かあったときに、家族や相続人が暗号資産の状況を把握し、次の行動に移れるようにするための説明書。鍵そのものは含めません。
暗号資産の引き継ぎでいちばん難しいのは、資産の存在が誰にも知られないまま終わることです。銀行口座であれば照会先がありますが、自己管理ウォレットには名義も窓口もありません。だからこそ、指示書の第一の目的は「そこに資産がある」と伝えることになります。金額の正確さより、抜けがないことが重要です。
書くべき内容は三つに整理できます。一つ目は、何があるか。使っている取引所の名前、ウォレットの種類と本数、ハードウェアウォレットが何台あるか。二つ目は、どこを見るか。ウォレットの一覧を置いてある場所、ハードウェアウォレットの保管場所、鍵の控えが物理的にどこにあるか。三つ目は、誰に相談するか。付き合いのある税理士や弁護士がいれば、その連絡先です。
書いてはいけないものも同じくらい明確です。シードフレーズ、秘密鍵、PIN、取引所のパスワード、2FAのリカバリーコード。これらを書き込んだ瞬間、指示書そのものが資産を動かせる文書になります。指示書は保管場所を家族に伝えておくべき性質のものですから、鍵を含めてしまうと「家族全員が常時アクセスできる場所に鍵がある」状態になります。生前の盗難・紛失のリスクを自分で作ることになります。
読む人の想定も大事です。多くの場合、読むのは暗号資産に詳しくない家族です。「MetaMaskのシードをLedgerにリストアして」と書いても伝わりません。「パソコンの引き出しに小さな黒い機器があります。これは暗号資産を保管する装置です。取り扱いには専門知識が要るので、まず次の連絡先に相談してください」という書き方のほうが、実際には機能します。
そして、この指示書と法的な手続きは別物です。指示書は事実を伝えるための文書であって、それ自体が財産の帰属を決めるものではありません。誰が承継するか、どういう書面が必要かという点は法律の定めに沿って設計する必要があり、自己流で作ると無効になったり、かえって争いの原因になったりします。指示書を用意したうえで、相続全体の設計は弁護士・税理士・司法書士など、相続と暗号資産の双方に知見のある専門家にご相談ください。
注意点
- · 指示書にシードフレーズ・秘密鍵・パスワードを書かないでください
- · 本記事は法的助言ではありません。相続の設計は必ず弁護士・税理士などの専門家にご相談ください
- · 指示書は財産の帰属を定める文書ではありません。法的な効力は別に設計する必要があります
よくある質問
指示書はどこに保管すればよいですか?
鍵を含まない文書なので、家族が到達できる場所に置いて構いません。ただし保有状況が分かる資料ではあるため、不特定の人が見る場所は避けてください。具体的な保管方法は、相続全体の設計の中で専門家にご相談ください。