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スリッページ許容値の設定

執筆
CRYPTO PORT 編集部
公開日
更新日
読了目安
6 分

結論

スリッページ許容値は「表示された価格からこれだけずれても実行してよい」という上限の設定です。狭すぎると取引が失敗してガス代だけ消え、広すぎると想定より大幅に不利な価格で成立します。既定値のままにして、失敗するときだけ最小限広げるのが基本の運用です。

要点

  • 許容値は「価格がずれても実行する上限」であり、手数料の設定ではない
  • 広げるほど、不利な価格で成立する余地を自分で作ることになる
  • 流動性の薄いトークンで広い許容値を設定すると、先回り取引の標的になりやすい
  • 取引が失敗し続ける場合は、許容値ではなく数量や時間帯を見直す選択肢もある

定義

DEXでの取引時に、見積もり価格と実際の約定価格との差をどこまで許容するかを指定する設定のこと。上限を超える価格変動が起きた場合、取引は実行されずに差し戻される。

なぜこの設定が必要なのかを先に押さえます。取引をウォレットから送信してから、ブロックに取り込まれて実行されるまでには時間差があります。その間に他の人の取引が同じプールを通れば、価格は動きます。そのため、送信時点の見積もりと実際の約定価格は一致しません。スリッページ許容値は、この差をどこまで受け入れるかをあらかじめ決めておく仕組みです。

設定の場所は、一般的にはスワップ画面の歯車アイコンや「設定」から開く欄にあります。画面の作りはサービスごとに違うので、ボタン名を覚えるより「取引を実行する前に許容値の欄を必ず一度見る」という手順として固定してください。多くのDEXでは既定値が用意されており、まずはその値のまま実行して問題ないかを見るのが安全側の進め方です。

許容値を広げるべきかどうかの判断は、取引が失敗したときに生じます。差し戻された理由が価格変動によるものであれば、許容値が狭すぎた可能性があります。このとき、一気に大きな値へ変更するのではなく、少しずつ上げて再試行してください。差し戻された取引でもガス代はかかりますが、不利な価格で成立して失う金額のほうが大きくなりうるためです。

逆に、許容値を広げても解決しない場合があります。プールの流動性に対して取引数量が大きすぎると、そもそも価格への影響(プライスインパクト)が大きく、許容値を広げることはその不利をそのまま受け入れることになります。この場合は数量を分割する、別の経路を使う、その取引自体を見送るといった選択のほうが理にかなっています。プライスインパクトと許容値は別の数字なので、両方を確認してください。

運用として覚えておきたいのは、広い許容値が他人にとっての利益になる構造です。ブロックチェーン上では送信待ちの取引が見える場合があり、広い許容値を設定した取引は、その幅いっぱいまで価格を動かしてから元に戻す取引を前後に挟むことで利益を抜ける対象になります。自分の設定が、そのまま他人の取り分の上限になっていると考えてください。

注意点

  • · 許容値を大きく広げた取引は、価格を動かしてから戻す手法(サンドイッチ)の標的になり、設定した幅のぶんだけ不利な価格で成立することがあります
  • · 取引が差し戻されてもガス代は戻りません。何度も再試行すると、手数料だけが積み上がります
  • · 許容値を広げれば必ず成立するわけではありません。流動性が極端に薄い、あるいは売却が拒否される設計のトークンでは、何度試しても通らないことがあります

よくある質問

  • 許容値は何パーセントに設定すればよいですか?

    数字をここで示すことはできません。適切な値は、そのプールの流動性、取引数量、そのときの値動きによって変わります。原則は「既定値から動かさない、失敗したときだけ最小限上げる」です。大きな値を常用する運用は、その幅ぶんの損失を毎回許容していることになります。

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