流動性の提供手順
- 執筆
- CRYPTO PORT 編集部
- 公開日
- 更新日
- 読了目安
- 7 分
結論
流動性の提供とは、自分の資産をプールに預けて他人の取引の相手方になることです。手数料の分配を受けられる一方、預けた2資産の価格差が開くほど、単に持っていた場合より資産が減ります(インパーマネントロス)。さらにコントラクトの脆弱性という、預け先そのものを失う経路が常にあります。
要点
- 預けるのは通常2種類のトークンで、価値が釣り合う比率で入れる
- 受け取る手数料と、インパーマネントロスは別勘定。差引きで負けることがある
- 預けた資産はコントラクトが保持する。脆弱性や不正があれば全額を失いうる
- 引き出すときに戻るのは、預けたときと同じ数量ではなく、そのときの比率に応じた数量
定義
DEXの流動性プールに2種類のトークンを預け、その資金を使った他者の取引が成立するようにし、対価として取引手数料の一部を受け取る行為のこと。
前提の整理から始めます。DEXに板はなく、売買の相手方は流動性プールです。そのプールの中身は、誰かが預けた資産です。あなたが流動性を提供するということは、他人が買うときにあなたの資産が売られ、他人が売るときにあなたの資産で買い取られる、という関係に入ることを意味します。手数料はその役割に対する対価です。
手順としては、まずプールを選び、ペアとなる2種類のトークンを、価値が釣り合う比率で用意します。多くの場合、片方はステーブルコインやチェーンのネイティブ通貨です。それぞれのトークンについて、コントラクトが動かせるようにする承認(approve)の取引が別途必要になり、そのぶんガス代がかかります。預け入れが完了すると、持分を表すトークン(LPトークン)がウォレットに発行される設計が一般的です。
ここで必ず理解しておきたいのがインパーマネントロスです。プールは常に2資産の比率を保とうとするため、片方の価格が上がると、プールはその上がった側を売り、下がった側を増やします。結果として、引き出すときに戻ってくるのは「値上がりした側が減り、値下がりした側が増えた」構成になります。単に両方を持ち続けた場合と比べて資産が少なくなる、この差が損失の正体です。価格が元の比率に戻れば解消するため「インパーマネント(一時的)」と呼ばれますが、戻らないまま引き出せば確定します。
そのうえで、手数料収入と比較します。取引が活発なプールでは手数料が積み上がり、価格差による目減りを上回ることがあります。逆に、取引が少なく価格が大きく動いたプールでは、手数料を受け取っていても差引きで損になります。どちらになるかは事前には分かりません。「手数料が入るから得」という説明は、この片側だけを見たものです。
最後に、預け先そのもののリスクです。あなたの資産はコントラクトが保持します。そのコントラクトに脆弱性があれば、あるいは管理権限を持つ者が資金を動かせる設計であれば、価格変動とは無関係に全額を失うことがあります。監査の有無や運用期間の長さは判断材料にはなりますが、被害が出なかった保証にはなりません。失っても生活に影響しない範囲にとどめる、という前提から離れないでください。
注意点
- · コントラクトの脆弱性、管理権限の悪用、価格情報(オラクル)の操作により、預けた資産が全額失われた事例があります。価格が動かなくても失う経路があります
- · 2資産の価格差が開いたまま引き出すと、単に保有していた場合より資産が減ります。手数料収入がこれを必ず上回るわけではありません
- · 見た目を似せた偽サイトで承認や預け入れをさせる手口があります。公式ドメインを自分で確認し、ブックマークから入ってください
よくある質問
片方のトークンだけを預ける方式なら、インパーマネントロスは起きませんか?
単一資産で預ける設計でも、内部で交換や貸し出しが行われていれば、同種の目減りや別のリスクが発生します。表示上の操作が簡単になっただけで、原資産が何にどう使われているかは変わりません。どの資産が、どの仕組みで運用されるのかを確認してください。