記録のバックアップを設計する
- 執筆
- CRYPTO PORT 編集部
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結論
バックアップは、失われ方を先に考えてから作るものです。機器の故障・アカウントの凍結・災害・自分の操作ミスのどれが起きても残るように、置き場所の性質を変えて複数持ってください。ただし、この話は取引記録についてであり、シードフレーズには当てはまりません。
要点
- 同じ失われ方をする場所に二つ置いても、バックアップにはならない
- 取引記録はクラウドと手元の両方に。片方だけでは足りない
- シードフレーズはこの方針の対象外。オフラインで別扱いにする
- 復元できるかを一度試さないと、バックアップの存在は確認できない
定義
取引履歴や在り処の一覧といった記録類を、失われる原因が異なる複数の場所に保存しておく設計のこと。
バックアップの目的は「コピーを増やすこと」ではなく「同時に失われないようにすること」です。同じパソコンの別フォルダに置いたコピーは、そのパソコンが壊れれば一緒に消えます。同じクラウドアカウントの別フォルダも、アカウントが凍結されれば一緒に到達できなくなります。まず、自分の記録がどういう理由で失われうるかを並べてみてください。
主な失われ方は四つです。機器の故障や紛失。クラウドアカウントの凍結や解約。火災・水害といった物理的な災害。そして自分での削除・上書き。これらに対して、手元の外付けストレージはアカウント凍結に強く、クラウドは機器の故障と災害に強く、世代を残す設定は自分の操作ミスに強い。つまり、性質の違う置き場所を組み合わせることで初めて成立します。
取引記録については、クラウドと手元の二本立てを基本にするとよいでしょう。四半期ごとに取引所から落としたCSVを、まず手元のフォルダに保存し、そのフォルダをクラウドと同期する。この形なら片方が使えなくなっても記録は残ります。ファイル名と年ごとのフォルダ構成を揃えておけば、数年後の自分も迷いません。
ここで明確に線を引いておきます。以上はあくまで取引記録の話です。シードフレーズや秘密鍵は、この方針の対象外です。クラウドに置かない、写真を撮らない、メールで自分に送らない、パスワード管理アプリにも入れない。鍵の控えは紙や金属板といったオフラインの媒体で持ち、複数の場所に分けて保管するという別の作法に従います。記録の利便性と鍵の安全性は、まったく違う設計原則で動いています。
最後に、復元の確認です。バックアップは、そこから実際に取り出せて初めて機能します。年に一度、クラウドからファイルを一つ落として開いてみてください。文字化けしている、パスワードが分からない、形式が古くて開けない、といった問題はこのときに見つかります。
注意点
- · シードフレーズ・秘密鍵をクラウド・写真・メール・パスワード管理アプリに保存しないでください
- · 同じ機器・同じアカウント内のコピーは、バックアップとして機能しません
- · 復元を試したことがないバックアップは、機能するかどうか分かりません
よくある質問
クラウドに置くのが危ないなら、取引記録もクラウドはやめるべきですか?
取引記録と鍵はリスクの性質が違います。記録が漏れてもそれだけで資産を動かされることはないため、利便性を優先してクラウドを併用して構いません。鍵だけが例外で、オフラインに限定してください。