取引履歴が欠けているとき
- 執筆
- CRYPTO PORT 編集部
- 公開日
- 更新日
- 読了目安
- 8 分
結論
履歴の一部が取得できない場合でも、「分からないので適当な数字を入れる」という対応は取るべきではありません。残っている材料から合理的と説明できる方法で算定し、その方法と根拠を文書として残すのが実務の基本です。どの方法が妥当かは状況によって変わるため、必ず税理士に相談してください。
要点
- まず、本当に取得できないのかを確認する。問い合わせで出てくることがある
- 欠けている範囲を特定する(どの口座の、いつからいつまでの、何の記録か)
- 残っている材料から合理的に説明できる方法で算定する
- 採った方法と根拠を文書に残し、税理士に相談する
定義
取引記録の一部が取得できない状態で、残る資料から取得価額や損益を合理的に算定し、その根拠を保存する実務のこと。
最初にすべきは、本当に取得できないのかの確認です。画面から落とせないだけで、サポートに問い合わせれば過去分を出してもらえることがあります。口座を解約していても、本人確認を経て履歴の提供に応じる事業者もあります。メールの受信箱に取引の通知が残っていたり、以前作った表計算ファイルが残っていたりすることもあります。時間はかかりますが、実データが出てくるならそれが最良です。諦める前に一通り当たってください。
それでも埋まらない場合は、欠けている範囲を正確に特定します。どの口座の、いつからいつまでの、どの種類の記録が無いのかを書き出してください。「なんとなく分からない」ままでは対処の方法も選べません。範囲が特定できると、その期間の前後の残高から、欠けている期間に何が起きたはずかをある程度絞り込めることがあります。
次に、残っている材料を並べます。銀行の入出金明細(円の動きが分かります)、ブロックチェーン上の送受信記録(自己管理ウォレットが絡む場合、チェーンの記録は消えません)、取引所からのメール通知、スクリーンショット、当時使っていた表計算ファイル、確定申告済みの過去の年の資料などです。断片でも、組み合わせると輪郭が見えてくることがあります。
そのうえで、算定の方法を決めます。ここで大事なのは、選んだ方法を他人に説明できるかどうかです。「この期間に取引所へ入金した円の額と、期間末の保有数量から、取得価額をこう見積もった」といった形で、前提と計算過程を書き出せる状態にしてください。逆に、根拠なく都合のよい数字を置くことは、後の説明が成り立たなくなるだけでなく、正しくない申告につながります。適当な数字でよい、ということは決してありません。
そして、採った方法と根拠は、計算結果とセットで文書に残してください。欠落の事実、確認のために何を試したか、残っていた材料、採用した算定方法、その方法を選んだ理由。これが残っていれば、後日説明を求められたときに落ち着いて対応できます。なお、どの方法が妥当かは状況によって変わり、当サイトで一般的な答えを示すことはできません。金額が大きい場合や範囲が広い場合は特に、税理士に相談したうえで方針を決めてください。
注意点
- · 当サイトの記載は一般的な整理であり、税務アドバイスではありません
- · 根拠のない数字を置くことは、正しくない申告につながります。絶対に避けてください
- · 算定方法の妥当性は個別判断です。必ず税理士にご相談ください
よくある質問
取得価額がどうしても分からない場合、どうなりますか?
取得価額を証明できない場合の取扱いは制度で定められており、納税者にとって不利な前提での計算を求められる場合があります。具体的にどう扱われるかは状況によって変わるため、自己判断せず、国税庁の案内を確認したうえで税理士にご相談ください。