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取引の伝播とプライバシー
- 執筆
- CRYPTO PORT 編集部
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- 5 分
結論
取引はネットワークを伝わって広がりますが、その広がり方を多数の地点から観測すると、最初に発信したノードを推定できます。台帳に残る情報を隠しても、伝播の段階で発信元が割れれば意味が薄れます。プロトコル側でもこの経路を守る工夫が続けられています。
要点
- 伝播の順序を観測すると発信元が推定できる
- 多数のノードを置いて監視する手法が知られている
- 発信を遅延・迂回させる対策が実装されている
- 台帳上の秘匿とは別のレイヤの問題
定義
作成された取引がノード間を次々に転送されて広まる過程で、どの地点から最初に送り出されたかが観測によって推定されうる問題。ネットワーク層でのプライバシーの論点にあたる。
P2Pネットワークでは、取引を受け取ったノードが接続先へ次々に転送していきます。素朴に実装すると、発信元に近いノードほど早く受け取ることになるため、各地にノードを置いて到着時刻を記録すれば、どこから出た取引かをかなり絞り込めます。研究では実際にこの手法の有効性が示されてきました。
対策として広く実装されているのが、最初の数ホップを通常の拡散とは違う扱いにする方式です。受け取った取引をしばらく一方向にだけ転送してから全体へ広げる、転送のタイミングをランダムに遅らせる、といった工夫で、到着時刻の勾配から発信元を逆算しにくくします。
ただしこれは確率を下げる対策であり、決定的な解決ではありません。接続先のノードを攻撃者が多く占めている場合や、同じ端末が長期間同じ経路で発信し続ける場合には、統計的に絞られる余地が残ります。台帳の秘匿とネットワーク層の保護は、別々に考える必要があります。
注意点
- · 秘匿機能を持つ通貨でも、ネットワーク層の保護は別に必要になる
- · 常に同じ接続先だけを使い続けると、観測される側になりやすい
- · 軽量ウォレットは自分で発信せず事業者経由になることが多い